X線内部投影検査とは
X線発生装置からX線を照射し、対象物(コンクリート)の裏面へフィルムを貼り、コンクリート内部を映し出します。人間の体を撮るレントゲン写真と原理は同じです。コンクリートの壁やスラブの内部にある鉄筋や電管などの埋設物の位置を写真にして確認することができます。当社は、暗室(現像専用車)を使用せず、その場で現像及び測定することが可能です。
X線内部投影検査施工手順
・位置確認
・墨出し
・合マーク設置(コア穿孔径に合わせます)
・フィルム設置
・X線照射機設置
・管理区域の確立
・X線照射
・X線 線量計測
・スキャニング
・印刷
X線コンクリート内部検査の特徴
- 壁・スラブであれば 短時間(数秒)で照射が終了します。その後 スキャンニング(数分2~3分)で内部の状態が確認できます。
- 鉄筋や電管(CD管)までの距離を計測する事が可能ですので、コア穿孔位置の変更も容易です。また、鉄筋のサイズ・種類も判断できます。誤って電管や鉄筋を切断する事も防げます。
もしも鉄筋や電管を切った場合は、その後の工事にも影響を及ぼすだけでは無く、修繕のためにかなりの費用がかかります。 - 当社では、現像ではなくスキャナーで画像を読み取りますので現像車での現像をしません。現場内にスキャナーを持ち込むことで、その場で確認が可能です。
- コンクリートの厚みは、300mm位まで鮮明な画像が得られます。300mmを超えると鮮明な画像は得られません。また、300mmを超えると照射時間も数分(6~10分)必要となります。
- 高さは、4m位までの壁まで撮影可能です。4mを超える位置の場合は 別途ご相談ください。(外壁から照射する場合は、足場等が必要となる場合があります。)
- 下記の図のように X線照射機側とフィルムを貼る側のスペースが必要です。照射機側に障害物(配管・電線)があると写り込んだり、状況によっては撮影が出来ない場合がありますので、スペース確保をお願いします。
X線について
- X線は放射線ですので、原子力発電のような放射性物質を使うことはなく、照射後その場所に残留することはありません
- 照射時間も数秒~数分ですので、長時間照射することはありません
- 現場では、安全な作業を行うため、X線作業主任者(国家資格)を有する者が指揮をとり、管理区域の設定を確実に行い、立入禁止区域を設け、監視することで、万全な安全管理を行います
管理区域について
- 立入禁止区域(電離則 第18条):立ち入り禁止区域は、放射線源より5mまたは、放射線による線量当量が0.5mSv/hを超えるおそれのある区域とする
- 管理区域(電離則 第3条):管理区域は、放射線による線量当量が1.3mSv/3ヶ月を超えるおそれのある区域とする
- 管理区域において受ける外部被ばくによる線量の測定は、作業者にポケット線量計を装着させ、作業中及び作業完了後に外部被ばくによる線量の確認を行う
- X線照射中は、当該装置に付属する【警告灯】【警告音を発生するブザー】により、当該作業者及び周辺の作業者にX線照射中であることを知らせる
X線が人体に与える影響について
私たちが1年間に浴びる自然放射線の量の平均は約2.4ミリシーベルト(世界平均の値)です。
その内訳は
- 空気中にあるラドンという放射線物質から1.2ミリシーベルト
- 宇宙からやってくる宇宙放射線による被ばく量が0.4ミリシーベルト
- 地面から約0.5ミリシーベルト、食べ物から約0.3ミリシーベルト
★放射線を放出する能力を【放射線】といい、放射能をもった物質を【放射性物質】といいます。放射線には、(アルファ線)(ベータ線)(ガンマ線・X線)などがあります。放射線が組織等に与えるエネルギーをグレイ(Gy)という単位で表します。またその人体への影響を表す単位としてシーベルト(Sv)が使われます。
★1シーベルト(Sv)=1000ミリシーベルト(mSv)=100万マイクロシーベルト(μSv)
この写真は、実際にサーベイメーターで計測した時の数値で約40μSv/hとなってます。管理区域外の放射線量は、ほとんど人体に影響することもありません。